今回は、築年数が古いと緩和される不思議な基準の解説です。
一戸建て住宅にて、フラット35等の物件検査(中古住宅適合証明)を行うとき、業務受付日が築10年を超えていれば、耐久性に関する基準が緩和される可能性が出てきます。それまでは対象外であった物件でも、フラット35の融資対象となる可能性が生まれてきます。一般的な感覚では古くなれば基準が厳しくなりそうなので謎なように感じますが、年月を経た実績を耐久性能として評価するという点では合理的な基準緩和といえます。
中古フラット35では可能になるパターンもある フラット35というのは、住宅ローンの一種です。また完了検査というのは、建築物の完成時に建築確認どおりに出来ているかを検査するものです。 新築住宅の場合は、この完了検査に合格しないと住宅ロ[…]
基準緩和の概要
○フラット35等の物件検査(中古住宅適合証明)においては、大きく2つの検査に分かれます。耐久性基準についての検査と、劣化状況についての検査です。
○耐久性基準の検査は、原則的に建築時の状態で合格可能性が左右されてしまい、劣化状況のように補修によって合格可能性を上げることは難しくなっています。
○しかし、一定年数を経過しても著しい劣化が生じなかった物件については、その実績を考慮して耐久性を評価することが考えられます。一戸建て住宅のフラット35等の物件検査においても、同様の考えをもった評価システムとして、基準の緩和措置が存在します。
○築10年を超える物件においては、所定の床下空間の検査に適合したものであれば、基礎の高さに関する基準と、床下換気口の設置間隔に関する基準について、それぞれ緩和措置が講じられています。
●この緩和措置は、築10年以内の間はフラット35の対象ではなかった物件が、築10年を超えるとフラット35対象物件に変身する可能性を生み出すものということが出来ます。
基準緩和に必要な築年数
○中古一戸建ての耐久性基準の緩和を受けるために必要な条件の一つは、築10年を超えていることです。
○緩和条件の築10年の起算日は、新築日です。新築日は、登記事項証明書に記載されています。
●緩和条件である築10年を超えているかどうかは、適合証明(物件検査)業務の受付日が新築日から10年を超えているかどうかで判断します。
◎当研究所では、事前の相談等は受付日には参入しませんので、築10年を超えているかどうかが判断できない場合でも、お気軽にお問い合わせいただけます。
基準緩和に必要な床下空間の適合条件
○築10年超の一戸建て住宅のすべてが基準緩和を受けられる訳ではありません。床下空間の検査を行い、所定事項に適合している必要があります。
◎床下空間の検査のためには、床下点検口が必要になります。
○耐久性基準の緩和のための床下空間の検査では、土台、土台以外の床下の木材、木材以外の床下の部材の3点を検査します。
●土台、および土台以外の床下の木材の検査においては、腐朽等および蟻害が認められないことが必要です。また、木材以外の床下の部材の検査においては、蟻害が認められないことが必要となります。
基礎高についての基準の緩和
○一戸建て住宅の耐久性基準では、基礎の高さは、地面から40cm以上必要となっています。
○地面から40cm以上という基準は、布基礎形式の基礎においては満たしているものが非常に少なく、布基礎は10年ほど前までは主流であったために、フラット35の適合率(合格率)を下げている大きな要因となっていました。
○築10年超で床下空間の検査に適合している物件では、基礎の高さは、地面から30cm以上でよいように緩和されています。
●地面から30cm以上であれば、布基礎形式のものでも満たしているものが少なくなく、フラット35の融資対象となる可能性が高くなる緩和措置です。
床下換気口の設置間隔についての基準の緩和
○一戸建て住宅の耐久性基準では、床下換気口の設置間隔は、4m以内となっています。
○床下換気口の設置間隔が4m以内という基準は、満たしているものが少なく、特に基礎パッキン方式が普及する10年ほど前までの物件では、フラット35の適合率(合格率)を下げている要因となっていました。
●築10年超で床下空間の検査に適合している物件では、床下換気口の設置間隔は、5m以内でよいように緩和されています。
◎浴室の周囲や玄関付近では、床下換気口の設置間隔が外見上で5m(緩和がない場合は4m)を超えていても、評価方法上は超えていない場合があります。また、外見上は床下換気口がないように見えていても、基礎パッキン(ネコ土台)方式の換気口が設けられている場合があります。こうしたケースに該当するような場合は、当研究所までお気軽にご相談ください。
フラット35融資の対象物件であるかどうかの判断を後回しにして売買契約を進めることは、買主および売主の双方にとって大きなリスクとなります。売買契約や売出しに先行して判断のための調査を行うことをお奨めします。
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