[sitecard subtitle=関連記事 url=flat35-042bukkenkensa-jiki target=] フラット35は融資条件に物件も重視 フラット35は、住宅金融支援機構と金融機関とが提携して生み出された住宅ロ[…]
機構が想定する検査時期は買取再販のケース
フラット35の融資を受けるためには、物件検査に合格して適合証明書を取得する必要があります。
新築住宅であれば設計・施工時のどのタイミングで物件検査を行うかは明確なのですが、中古住宅の場合はいつ行えばよいのか悩んでしまう人も多いでしょう。
物件検査の実施時期に悩んでしまう理由の一つに、住宅金融支援機構が発行しているパンフレットに記載された図があります。
図の下の段左側に物件検査の時期が記されているのですが、これによると金融機関の事前審査よりも先に行うようになっています。
しかし適合証明書を提出する時期は、住宅金融支援機構の本審査よりも後になっており、青い点線が長く伸ばされているように物件検査から大きく間が空いたスケジュールです。
しかも物件検査が“事業者”の手続きとして表記されており、融資を受けようとする買主にとって、特に個人間売買のときの買主にとって、理解し難い図がパンフレットに描かれています。
パンフレットを見た人が悩むのは実は当然で、なぜならこの図が中古住宅の売買における一部のケースにしか対応してないからです。
この図が当てはまるケースというのは、対象物件がフラット35に対応させた買取再販物件の場合になります。
買取再販というのは、不動産業者(宅地建物取引業者)が住宅を買取り、それにリフォームを行ってから再度販売を行うものです。
このときに行われるリフォームをフラット35に適合するものとした場合、もし検査で不合格になったとしても補修等を行って合格するように施工がなされます。
すなわち基本的には売出しの時点で適合証明書が交付可能な物件となる訳であり、買主が物件検査を行う必要がない方法が採られているケースになります。
つまりパンフレットの図は、新築住宅と同様に“事業者”による施工(リフォーム)を想定したものであり、物件検査とは施行に対する“検査”をイメージしたものといえます。
しかし、買取再販物件は中古住宅流通量全体の2割程度とみられ、またそれらすべてがフラット35に対応させたものでもありません。
売り出されている中古住宅の8割以上は、パンフレットの図が想定するような物件ではないと考えられます。
[参考資料]
住宅金融支援機構HP パンフレット【フラット35】のご案内
一戸建て住宅にて、フラット35等の物件検査(中古住宅適合証明)を行うとき、外装リフォーム等がなされた物件では、劣化状況や耐久性基準の検査に通る確率が高くなります。言うまでもなく、購入者が融資を受けやすい物件の方が売却には有利。フラット35に[…]
個人売主物件で行いがちな検査の後回し
取引されている中古住宅の多くは個人売主の物件であり、取引形態が仲介を伴う個人間売買となっているものです。
個人売主の物件では、買取再販とは違って売却のためのリフォームは通常行いません。経年劣化等が生じていてもそのままの状態(現状有姿)にて売却を行います。
リフォームをしないということは、フラット35の基準に適合させる機会がない訳ですから、物件検査を行う機会もないことになります。
このため、個人売主の中古住宅の場合は、買主がフラット35を利用しようとするときに物件検査を行うことになります。
買主が物件検査を行う場合には、建築士等の適合証明機関に依頼することとなりますが適合証明書を発行するためには別途に費用が伴います。
費用をかけて物件検査を行ったにも関わらず金融機関から融資が否決されると検査費用が損失となってしまうので、それを避けるために融資の承認が得られてから物件検査を行おうとすることが多くなります。
無駄(金銭的損失)を避けるという合理的な行動に見えますが、果たして本当に合理的なのでしょうか?
本審査後の物件検査は時間的損失が大きい
フラット35の適合証明書の提出時期が本審査の後となっているのは、リフォームをする買取再販物件を想定しているためです。つまり物件検査に合格することを前提としたスケジュールなのです。
検査に合格して適合証明書が提出されることを当然のことと考えているので、本審査の前あるいは審査中に適合証明書を確認するという作業を行っていないと考えられます。
しかし、個人売主の物件ではリフォームを行わないため、物件検査に合格するとは限りません。特に一戸建て住宅や旧耐震のマンションでは、物件が合格する確率は買主が本審査で承認される確率よりも厳しいと言っても過言ではありません。
本審査の承認後に適合証明書提出が出来ないという事態は常に想定しておく必要があります。
本審査で融資が承認されたのに物件検査で不合格になると、実質的に審査に要した時間が損失となってしまいます。
フラット35の場合は、事前審査でOKであっても本審査でなかなか承認されないことがしばしばあり、本審査で要する時間が長くなることが珍しくないと言われています。
この厳しい本審査をクリアした後での物件検査の不合格は、買主と売主の双方にとって大きな時間的損失となる訳です。
このような損失を最小化するためにはどうすればよいのでしょうか?
物件検査の先行実施によるメリット
不確定要素が存在するスケジューリングの基本は、不確定性の高いものを先に確定させてしまうことです。
物件検査の時期を事前審査の前にもってきても、全体的な審査期間は大きくは変わらず、損失も変わらないように見えます。
しかし物件検査の検査自体に要する時間や不合格となる確率を考えると、物件検査を先行して実施する方が明らかに時間的損失が生じる可能性は小さくなります。
事前審査で否決された場合には、物件検査を先行させるメリットは乏しいように見えます。
しかし、一つの結論が早く得られることによって、次のステップに速やかに移ることが出来るという大きなメリットがあります。
買主にとっては次の物件探しに早く着手することが出来ますし、売主にとっては次の買受希望者と早く話を始めることが出来ます。
特に売主にとっては、物件検査を一度行えば、その結果は合否のいずれにしても次に生かすことが可能です。
フラット35は融資可能な買受希望者の母数を増やすことができるため、強力な売却ツールが増えることとなります。
フラット35が利用可能かどうかの情報が増えることは、今後買主となる人にとっても物件探しに大いに役立ちます。
物件検査の先行実施は、買主と売主の双方にとって大きなメリットをもっているといえるでしょう。
フラット35適合証明書(中古住宅適合証明書)は、中古住宅でフラット35の住宅ローンを利用するときに必要となるものです。しかし調査の結果次第では発行できないことがあるなどのため、その不確実性(ギャンブル性)が売主や買主のいずれにとっても円滑な[…]