フラット35適合証明書はすぐに発行できるのか?

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フラット35適合証明にどれくらいの時間がかかるのかが気になる方は多いのですが、その見通しをたてるためには手続きの全体への理解や類似した他の適合証明との違いの理解が必要です。この記事では、フラット35適合証明書の制度について、他の制度と比較しながら、手続き面を中心に解説します。スケジュールを考えるときなどに役立ちます。なお、ここで示した手続きは一般的なものを表したものですので、実際に行われる手続きは建築士によって多少の相違が生じることにご注意ください。

フラット35適合証明の手続きの特徴

フラット35と財形住宅融資における違い

フラット35と財形住宅融資の物件検査における主な違い
フラット35 財形住宅融資
適合証明書を要しない
融資種別
借換融資(新耐震物件) リ・ユースマンション(新耐震)
床面積要件 70平米~
(共同建:30平米~)
40平米~280平米
併用住宅 一部可 不可

○フラット35では、「借換融資」を新耐震物件にて利用する場合に、物件検査を省略することができます。

○財形住宅融資では、返済期間が25年までの「リ・ユースマンション」を新耐震物件にて利用する場合に、物件検査を省略することができます。

○店舗等を併用する住宅については、フラット35の場合に限り、一定条件を満たす物件にて利用が可能になります。ただし、店舗等の非住宅部分は面積要件の算定において除外されます。

融資種別による技術的基準の違い

一戸建て等における融資種別による技術的基準の主な違い
フラット35(通常)

リ・ユースプラス住宅
(財形住宅融資)

借換融資
(フラット35)
リ・ユース住宅
(財形住宅融資)
住宅の規格
住宅の耐久性
劣化状況
マンションにおける融資種別による技術的基準の主な違い
フラット35(通常)

リ・ユースプラスマンション
(財形住宅融資)

借換融資
(フラット35)
リ・ユースマンション
(財形住宅融資)
住宅の規格
住宅の耐久性
劣化状況
管理規約
長期修繕計画

○「リ・ユースマンション」(最長返済期間25年)では、劣化状況の基準または維持管理基準(管理規約・長期修繕計画)のいずれか一方の適合が求められます。

○「借換融資」(フラット35)の場合、実質的には旧耐震物件における耐震評価審査のみとなります。なお、新耐震物件では物件検査そのものが省略できます(借換対象住宅に関する確認書は必要です)。

○「リ・ユースマンション」(最長返済期間25年)についても、新耐震物件では物件検査そのものが省略できます(リ・ユースマンション適合確認書は必要です)。

一戸建てとマンションの違い

物件検査に必要な事項の比較
一戸建て マンション
点検口の確認
管理組合等の協力
区分所有法の遵守
管理規約等の遵守

○一戸建てにおいては、点検口からの検査が必要となります。

○マンションでは、管理組合等の協力や区分所有法・管理規約等の遵守が必要になるため、手続き等に時間を要することが多く、余裕のある調査日程が必要となります。

●一戸建てとしての業務であっても、2戸以上の住戸で構成される「連続建て」等に該当する場合は、管理組合の協力等が必要になる場合があります。

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フラット35適合証明と耐震基準適合証明との違い

フラット35適合証明と耐震基準適合証明の手続面の比較
フラット35適合証明 耐震基準適合証明
目的 融資 税の減免
提出先 金融機関 税務機関
申請者 買主等 売主
調査内容 耐久性、劣化状況等 耐震性、劣化状況等
調査の期限 融資の審査まで 物件の引渡前まで
根拠法令 住宅金融支援機構法等 租税特別措置法
地方税法等

●耐震基準適合証明では、証明の申請者は原則として物件所有者の売主に限られますが、フラット35適合証明では、買主その他の第三者による証明申請を行うことが出来ます。

●調査の目的や内容等がそれぞれ異なりますので、両者の合否判定が同じになるとは限りません。

一戸建てフラット35適合証明の手続

フラット35適合証明の手続きフロー(一戸建て)

一戸建てのフラット35物件検査の手続きフロー図

●フラット35適合証明書は通称であって、正式には「中古住宅適合証明申請書」という名称です。調査の名称も正式には「物件検査」といいます。どちらもフラット35に関することが分かりにくいため、「フラット35適合証明書」「フラット35適合証明の調査」といった呼び方をすることが多いです。

●売主に対しては、物件検査への協力依頼が必要です。

●一般に、現地出張の前に事前審査を行います。事前審査は送付可能な書類や写真を用いて行います。なお、送付が困難な書類については、現地出張時に審査します。

●現地調査では床下および小屋裏の点検口からの検査を行いますので、自主チェック時に点検口の有無等をご確認ください。

●耐震評価審査は、旧耐震以前の一戸建ての物件検査を行う場合に実施します。

○住宅金融支援機構の定めた技術基準の必要なすべての項目にて適合が確認された場合、中古住宅適合証明書と検査概要書が発行されます。

●物件検査の途中で不適合となる項目があった場合は、一般にその時点で検査を終了します。

旧耐震一戸建て等の物件検査(一戸建て・フラット35)

一般工法又は
在来工法
2×4工法 プレハブ工法
木造 図面有りのみ 図面なし可 図面有りのみ
鉄骨造 図面有りのみ
鉄筋コンク
リート造
図面有りのみ 図面有りのみ

○木造の旧耐震物件は、在来軸組工法、枠組壁工法(2×4工法)、またはプレハブ工法のものを対象とします。

○鉄骨造(S造)の旧耐震物件は、プレハブ工法のものが対象となります。

○鉄筋コンクリート造(RC造)の旧耐震物件は、原則として図面が必要になります。

○プレハブ工法の旧耐震物件は、原則として図面が必要になります。

●図面なしの旧耐震物件は、木造の枠組壁工法(2×4工法)以外では対応が難しくなります。

●連続建て、重ね建てまたは共同建ての物件の場合は、全ての住戸の所有者が同一であるか又は管理組合が結成されていて、物件検査への協力が得られることが原則的に必要になります。

書類審査に必要な基本資料(一戸建て・フラット35)

●書類審査に必要な資料は、一般に次のとおりです。入手可能な範囲で建築士に送付します。
1)登記事項証明書(写し可)
2)検査済証、確認済証(確認通知書)または建築確認台帳記載事項証明書の写し
3)建築計画概要書および処分等の概要書の写し
4)配置図および各階平面図の写し
5)火災保険証券の写し
6)物件状況等報告書(写し可)

●旧住宅金融公庫の一般建設資金融資や建売住宅購入資金融資等の現場審査合格通知等がある場合には、その写しも準備します。

マンションフラット35適合証明の手続

フラット35適合証明の手続きフロー(マンション)

マンションのフラット35物件検査の手続きフロー図

●フラット35適合証明書は通称であって、正式には「中古住宅適合証明申請書」という名称です。調査の名称も正式には「物件検査」といいます。どちらもフラット35に関することが分かりにくいため、「フラット35適合証明書」「フラット35適合証明の調査」といった呼び方をすることが多いです。

●売主の方に対しては、物件検査への協力依頼が必要です。

●物件検査は共用部分についても行いますので、マンションの管理組合に対して、物件検査への協力依頼が必要です。

●一般に、現地出張の前に事前審査を行います。事前審査は送付可能な書類や写真を用いて行います。なお、送付が困難な書類については、現地出張時に審査します。

○現地調査における検査範囲は、居住者が通常に立ち入り出来る場所に限られます。

○専有部分での現地調査は、フラット35を利用する場合に実施します。

○耐震評価審査は、旧耐震以前の鉄筋コンクリート造(RC造)または鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)のマンションの場合に実施可能です。

●耐震評価審査においては、寸法が記載された平面図等の設計図面が必要です。保管されている書類に必要な図面がなかった場合は、耐震評価審査を行うことが出来ません。なお、耐震評価における柱軸力の確認は、構造計算書がない場合は実施出来ません。

○住宅金融支援機構の定めた技術基準の必要なすべての項目にて適合が確認された場合、中古住宅適合証明書と検査概要書が発行されます。

●物件検査の途中で不適合となる項目があった場合は、一般にその時点で検査を終了します。

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書類審査に必要な基本資料(マンション・フラット35)

●書類審査に必要な資料は、次のとおりです。入手可能な範囲で建築士に送付します。
1)登記事項証明書(写し可)
2)検査済証、確認済証(確認通知書)または建築確認台帳記載事項証明書の写し
3)建築計画概要書および処分等の概要書の写し
4)配置図および各階平面図(募集パンフレット等)の写し
5)マンション管理規約の写し
6)長期修繕計画書の写し
7)物件状況等報告書(写し可)

●優良分譲住宅購入資金融資やマンション購入資金融資等のマンション適格認定通知(または現場審査合格通知)がある場合には、その写しを準備します。

 

フラット35融資の対象物件であるかどうかの判断を後回しにして売買契約を進めることは、買主および売主の双方にとって大きなリスクとなります。売買契約や売出しに先行して判断のための調査を行うことをお奨めします。

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