プレハブならフラット35が当然使えるのか?

今回は、フラット35におけるプレハブ住宅の話です。
プレハブ住宅は、現地での加工を出来るだけ減らして工場生産に近い品質を目指した住宅であり、軽量鉄骨造のものが多いですが、2×4工法の木造住宅も広い意味ではプレハブ住宅に含まれます。
各ハウスメーカーが設計や施工を規格化して国の認定等を取っていることが多く、住宅ローン減税等のための耐震基準適合証明や長期固定金利融資のためのフラット35適合証明を取得する上でも有利な面をもっています。
しかしフラット35の基準に当然適合しているかというと、種類・劣化状態の違いやエビデンス書類の有無等でも左右されるため、適合しないことも多いです。建物そのものの状態の前に、どのような書類が残っているかで大きく左右されます。

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プレハブ住宅の種類

プレハブ住宅の分類イメージを表した図

○広く一般に言うプレハブ住宅とは、元来は建設現場にて部材の加工や組み立てを行っていたものを、可能な限り工場で部材を生産、加工、組立を行う方式としたものを指します。

○プレハブ住宅は、大きく分けて、木質系プレハブ住宅、鉄鋼系プレハブ住宅、コンクリート系プレハブ住宅に分類されます。鉄鋼系プレハブ住宅は、軽量鉄骨造と重量鉄骨造のものに分けられます。

○建築基準法としては、プレハブという言葉はなく、かつての工業化住宅性能認定や38条認定のされた住宅、現行の型式適格認定された住宅などが該当します。

○広義のプレハブ住宅に含まれるものでも、枠組壁工法(2×4工法)等によるものは、建築基準法上はプレハブ以外の汎用工法のものとして位置づけられています。

●プレハブ住宅のうち、旧住宅金融公庫により工場生産住宅または設計登録住宅として承認されたものは、旧耐震設計の時代のものでもフラット35の耐震評価基準に適合するなど、フラット35や財形住宅融資の物件検査(中古住宅適合証明)において有利なものとなっています。

◎新築日が1981年以前のプレハブ住宅において、住宅ローン減税等の税制優遇措置を受ける場合は、耐震基準適合証明書が必要になります。

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軽量鉄骨造のプレハブ住宅

●プレハブ住宅の多くは、鉄鋼系の軽量鉄骨造となっていますが、軽量鉄骨造は他の構造に比べて複雑な特徴をもっています。

記載文書 鋼材厚6㎜未満の建物 鋼材厚6㎜以上の建物
登記事項証明書等 軽量鉄骨造 鉄骨造
建築確認済証等 鉄骨造

○一般に軽量鉄骨造という場合、不動産登記簿の表題部の構造欄に示されたものを指します。登記事項証明書等にて鉄骨造と書かれている物件を、軽量鉄骨造と敢えて区別する意図で、重量鉄骨造と呼ぶ場合があります。

○建築基準法上では軽量鉄骨造という区分がないため、軽量鉄骨造の物件であっても、建築確認関係の書類では鉄骨造と表現されていることが多くなります。例外として、38条認定にて構造名称として用いたなどの場合に軽量鉄骨造という表現がなされます。

○軽量鉄骨造と鉄骨造(重量鉄骨造)の違いは、柱や梁などの構造材に用いられる鋼材の厚さにて区分されています。したがって同一タイプのプレハブ住宅であっても、梁や柱の大きさによっては軽量鉄骨造であったり重量鉄骨造になったりする場合があります。

◎固定資産税や登録免許税等の税務における耐用年数や課税標準額なども、軽量鉄骨造と鉄骨造(重量鉄骨造)で異なります。また、住宅ローン減税等の特例を受けるために耐震基準適合証明書が必要となる築後経過年数も、鉄骨造(重量鉄骨造)では25年ですが、軽量鉄骨造では20年と異なっています。

住宅での主な架構形式
(重量)鉄骨造 ラーメン式
軽量鉄骨造 壁(ブレース)式、ラーメン式、折衷式

○重量鉄骨造の住宅では、ラーメン形式の架構が採用されることが一般的です。ラーメン形式では、地震や強風に対して柱や梁の強度で抵抗するので、材料の厚さが大きくなるためです。柱以外の壁配置の制約が少なくなるので、間取りの自由度が高くなります。

○軽量鉄骨造の住宅では、材料の厚さが小さくなるため、柱や梁に加えて筋交いやブレースなどの斜材で補強した壁によって地震や強風に抵抗する壁式架構が一般的となります。壁式架構は間取りの自由度が低くなりがちなのですが、ハウスメーカーが独自にラーメン式と折衷した形式などの特殊な架構技術を開発して間取りの自由度を高めたものもあります。

○折衷形式に限らず、プレハブ住宅はハウスメーカーの独自技術が多く用いられています。壁式架構の汎用的な設計方法では制約が多いので簡易な建物(仮設建物や倉庫等)に限定されてしまい、住宅としての居住性を確保するためには独自技術が必要となるからです。これらの技術は年々進歩して行き、必然的に軽量鉄骨造の中古住宅は特徴が複雑なものとなっています。

フラット35への適合可能性の比較

構造別にみたフラット35適合可能性を比較した表

○プレハブ住宅の特長は、品質の精度が高く、ばらつきが小さくなることです。工場作業の割合を高めることにより、現場作業に対して、自動化や機械化が進んで手作業が少なくなり、また現場条件に左右されない安定した条件下で作業が行えるためです。この特長が、物件検査の現場調査での合否に有利に影響します。

○物件検査(中古住宅適合証明)の書類審査においては、住宅金融支援機構の技術基準のうち、耐久性基準への適合性が合否に強く影響します。この耐久性基準は、旧住宅金融公庫の融資基準をベースとしており、プレハブ住宅の多くが公庫融資への対応を想定しているため、適合可能性は高くなります。

○木造住宅における書類審査では、木造の一般住宅の仕様が耐久性基準を満たす割合が少ないことに加えて、建築確認申請書や設計図書等の書類が残っていない場合に証拠として代用できる書類がプレハブ住宅に比べて少ないことも、合否の可能性に影響を与えています。

○木造一般工法の住宅のうち、2×4工法(枠組壁工法)のものや旧住宅金融公庫の融資を受けたものは、プレハブ住宅との耐久性の差が小さく、書類審査での適合可能性が高くなります。

○鉄骨造一般工法の住宅は、木造在来工法のものよりは耐久性が高くなることは多いものの、木造2×4工法等のものより耐久性基準への適合性が劣ることがあるため、鉄骨造におけるプレハブ住宅の優位性は相対的に大きくなります。

○コンクリート造の住宅は、もともと耐久性が高いために一般工法でも書類審査に合格しやすくなりますが、建築確認申請書や設計図書等の書類が残っていない場合の証拠代用できる書類の有無という点において、プレハブ住宅のほうが有利になります。

○木造住宅の現地調査は、劣化状況の適否だけでなく、耐久性基準への適否を検査することも多くなります。外装メンテナンス等により劣化状況が同程度であったとしても、適合可能性のプレハブ住宅との差は他の構造に比べて大きくなります。

○木造一般工法の住宅のうち、2×4工法(枠組壁工法)のものや旧住宅金融公庫の融資を受けたものは、現地調査にて耐久性基準の検査を行う割合が小さくなるため、現場調査での適合可能性もプレハブ住宅との差は小さくなります。

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中古住宅構造確認書について

○プレハブ住宅では、所有者が家屋の耐久性を確認する書類(建築確認申請書等)を保管していなくても、プレハブメーカーが耐久性に関する構造(準耐火構造等)であることを確認した書類を交付できる場合があります。このときの書類を中古住宅構造確認書といいます。

○中古住宅構造確認書は、すべてのプレハブメーカーから発行できるものではなく、また同一のプレハブメーカーであっても、製造したすべてのプレハブ住宅が対象になるとも限りません。

○中古住宅構造確認書についての詳細は、住宅金融支援機構のHP(下記リンク)にてご確認ください。

参考HP:住宅金融支援機構HP 設計図書がない中古住宅の構造の確認方法

プレハブメーカー名の新旧対照表

旧社名又は施工時社名 ブランド名 現社名 確認書
旭化成ホームズ(株) ヘーベルハウス 旭化成ホームズ(株)
旭化成ホームズ(株) ヘーベルハウス 旭化成ホームズ(株)
中海宇部コンクリート工業(株) ウベハウス (ウベハウス(株))
ウベハウス中海工業(株) ウベハウス (ウベハウス(株))
宇部興産住宅(株) ウベハウス (ウベハウス(株))
ウベハウス(株) ウベハウス 2008年民事再生法申請
百年住宅西日本(株) 百年住宅 百年住宅西日本(株)
小堀住建(株) S×L (株)ヤマダ・エスバイエルホーム
エス・バイ・エル(株) S×L (株)ヤマダ・エスバイエルホーム
(株)ヤマダ・エスバイエルホーム S×L (株)ヤマダ・エスバイエルホーム
エヌケーホーム(株) NKホーム 2003年自主解散
クボタハウス(株) クボタハウス サンヨーホームズ(株)
三洋ホームズ(株) 三洋ホームズ サンヨーホームズ(株)
サンヨーホームズ(株) サンヨーホームズ サンヨーホームズ(株)
国土建設(株) ピーコン 国土建設(株)
積水化学工業(株) セキスイハイム 積水化学工業(株)
積水化学工業(株) セキスイツー
ユーホーム
積水化学工業(株)
積水ハウス(株) セキスイハウス 積水ハウス(株)
大栄住宅(株) プレタメゾン 2001年自己破産申請
大成建設(株)
住宅事業本部
パルコン 大成建設ハウジング(株)
大成建設ハウジング(株) パルコン
パルゼット
大成建設ハウジング(株)
大和ハウス工業(株) ダイワハウス 大和ハウス工業(株)
トヨタ自動車工業(株)
住宅事業部
トヨタホーム トヨタホーム(株)
トヨタホーム(株) トヨタホーム トヨタホーム(株)
ナショナル住宅建材(株) パナホーム パナホーム(株)
ナショナル住宅産業(株) パナホーム パナホーム(株)
パナホーム(株) パナホーム パナホーム(株)
ニッセキハウス工業(株) ニッセキハウス 2002年民事再生法申請
ミサワホーム(株) ミサワホーム ミサワホーム(株)
日本プレス建築(株) レスコハウス レスコハウス(株)
レスコハウス(株) レスコハウス レスコハウス(株)

 

フラット35融資の対象物件であるかどうかの判断を後回しにして売買契約を進めることは、買主および売主の双方にとって大きなリスクとなります。売買契約や売出しに先行して判断のための調査を行うことをお奨めします。

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