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フラット35S(エス)の対象となる条件には様々なバリエーションがあります。リフォームにより対象にするには手すりの追加が現実的ですが、リフォームなしでも対象にならないかの確認もしてみましょう。
リフォームで追加するなら手すりが現実的
中古住宅におけるフラット35S(エス)
○フラット35S(エス)は、定められた基準を満たす住宅の場合に、フラット35の借入金利が一定期間引き下げられる制度です。
○金利の引き下げ期間は、金利Aプランは10年間、金利Bプランは5年間となっています。
○中古住宅については、金利Bプランの定められた基準として、中古タイプ基準と優良な住宅基準の2種類があります。
○フラット35S(エス)の金利引き下げ幅、および当該年度の受付終了日については、住宅金融支援機構のHPにてご確認ください。
●金利Aプランの対象となる物件は、平成11年以前に建築されたものにはありません。また平成12年以降の物件であっても金利Aの対象となる物件は限られており、かつ所定の書類が保管されていなければなりません。
●金利Bプランの対象となる条件は、近年の物件では標準仕様の範囲内であり、また古い物件であっても所定の手すり設置などのリフォーム工事により条件を満たすことが可能です。
各フラット35適合証明機関の検査対象
適合証明機関 | ||||
---|---|---|---|---|
適合証明技術者 | 検査機関 | |||
一級建築士 | 二級建築士 | 木造建築士 | ||
一戸建て | ● | △ | △ | ○ |
マンション | ● | △ | - | ○ |
S金利A | - | - | - | ○ |
S金利B 優良住宅 |
- | - | - | ○ |
S金利B 中古タイプ |
● | △ | △ | ○ |
●○:可 ▲△:一部可 --:不可
○フラット35S(エス)を利用するためには、通常の物件検査に加えて、フラット35S(エス)の基準についての物件検査も必要です。
○一戸建ておよびマンションにおける二級建築士または木造建築士の対象範囲は、建築士法で定める設計・工事監理業務の対象範囲と同じです。
●適合証明技術者が、フラット35S(エス)の物件検査を行う場合は、金利Bプランの中古タイプ基準の対象物件であることが必要です。各プランの対象物件については次節および次々節を参照してください。
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フラット35S(エス)の対象物件
フラット35S(エス)金利Aプランの対象物件(中古住宅)
●金利Aプランの対象となるためは、まず当該物件が、下記のいずれかを取得している必要があります。
書類等名称 | 備考 |
---|---|
a.新築時の建設住宅性能評価書 | 平成12年以降 |
b.既存住宅の建設住宅性能評価書 | 平成12年以降 |
c.新築時のフラット35適合証明書 | 平成15年以降 |
d.長期優良住宅建築等計画の 認定通知書 |
平成21年以降 |
e.住宅事業建築主に係る適合証 | 一戸建てのみ 平成21年以降 登録建築調査機関によるものに限る |
f.エコポイント対象住宅証明書 | 一戸建てのみ 平成21年以降 住宅事業建築主基準適合に限る |
g.低炭素建築物新築等計画 認定通知書 |
平成25年以降 |
h.集約都市開発事業計画 認定通知書 |
マンションのみ 平成25年以降 |
i.建築物エネルギー消費性能向上計画 認定通知書 |
平成27年以降 |
○上表のd.長期優良住宅建築等計画は、長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づき、建築主が作成して、市町村長等が認定するものです。
○上表のe.住宅事業建築主に係る適合証(住宅省エネラベル)は、第三者機関(登録建築調査機関)により評価されたものに限られます。
○上表のf.エコポイント対象住宅証明書は、住宅事業建築主基準(トップランナー基準)に適合したものに限られます。
○上表のg.低炭素建築物新築等計画は、都市の低炭素化の促進に関する法律に基づき、建築主が作成して、市町村長等が認定するものです。これに基づいて作られたものを低炭素建築物といいます。
○上表のh.集約都市開発事業計画は、都市の低炭素化の促進に関する法律に基づき、デベロッパー等の事業者が作成して、市町村等が認定するものです。市町村等が定める低炭素まちづくり計画区域内に限られます。
●上表のうち、a~cについては、次表のいずれかに該当する必要があります。
耐震等級(構造躯体の倒壊等防止) | 等級3 |
高齢者等配慮対策等級 | 等級4以上 マンション専有部分は等級3以上 |
●a~hのいずれにも該当しない場合でも、金利Bプランの対象物件に該当する場合は、フラット35S(エス)の利用が可能です。
◎a~hのいずれかに該当する物件であり、かつフラット35S(エス)の金利Aプランをご希望の場合は、当研究所では検査対象外となりますので、別途住宅金融支援機構指定の検査機関のほうへお問い合わせください。
※上記『対応物件検査の簡易判定フロー(中古住宅フラット35S金利Aプラン)』は、フラット35S(エス)金利Aプランへの適合を保証するものではありません。あくまでも参考目安としてご利用ください。
フラット35S(エス)金利Bプランの対象物件(中古住宅)
○中古住宅における金利Bプランの2つの基準(中古タイプ基準、優良な住宅基準)のいずれに適合した場合でも、金利の引き下げ期間及び引き下げ幅は同じです。
○中古タイプ基準(中古住宅特有基準)にあっては、次の4つのうちのいずれかに該当することが求められます。
a.バリアフリー性(手すり設置)
b.バリアフリー性(段差解消)
c.省エネルギー性(開口部断熱)
d.省エネルギー性(外壁等断熱)
○中古タイプ基準のうち、a~cについては現地調査のみで判定が可能です。一方、dについては所定の書類が必要となります。
●現地調査による中古タイプ基準 a~c の概要は次のとおりです。
a.バリアフリー性 (手すり設置) |
浴室及び階段に手すりが設置された住宅 |
---|---|
b.バリアフリー性 (段差解消) |
屋内の段差が解消された住宅 |
c.省エネルギー性 (開口部断熱) |
二重サッシまたは複層ガラスを使用した住宅 |
○マンションにおいては、当該住戸の専有部分に対してのみ求められます。したがって、手すり設置については、マンションの住戸内は階段がないため、浴室のみに求められます(なおメゾネットマンションは住戸内階段があるため、そこへの手すりは要します)。
○手すりについては、壁等に定着されていることが必要です。吸盤式の脱着容易な手すりは基準を満たしません。
○屋内の段差解消については、すべての段差の解消は求められていません。浴室およびバルコニーの出入り口や玄関の上がり框等は除外されています。
○開口部断熱については、トイレ、浴室、脱衣室、および洗面室の窓は除外されています。また、天窓、ルーバー窓、および玄関等のドアのガラス部分は除外されています。
○新築時には基準を満たさなかった物件でも、リフォーム等により変更や追加設置された場合も対象になります。
●中古タイプ基準 d の概要は、下記のとおりです。
d.省エネルギー性 (外壁等断熱) |
天井又は屋根、外壁、床下等に省エネルギー対策等級2の基準と同等の厚さ以上の断熱材が施工されていること又は断熱等性能等級2相当以上であることが確認された住宅 |
---|
○中古タイプ基準 d は、書類審査と現地調査により検査されます。
●中古タイプ基準 d の書類検査に必要な書類は、下記のいずれかです。
書類等名称 | 備考 |
---|---|
ア.建設住宅性能評価書 | 平成12年以降 |
イ.新築時のフラット35適合証明書 | 平成15年以降 |
ウ.現場審査合格通知書 (旧住宅金融公庫) |
平成2年以降 (一戸建て) |
エ.適格認定通知書 (旧住宅金融公庫) |
平成2年以降 (マンション) |
オ.旧公団分譲マンションで あることを証する書類 |
昭和63年4月1日以後の竣工 |
○ ア.建設住宅性能評価書および イ.新築時のフラット35適合証明書については、省エネルギー対策等級2以上または断熱等性能等級2以上であることを要します。
○ ウ、エ の旧住宅金融公庫の書類については、該当融資種別等の詳細な条件があります。
○ オ の旧公団分譲マンションとは、現在の独立行政法人都市再生機構(通称:UR)およびその前身機関である住宅・都市整備公団(S56~H11)または都市基盤整備公団(H11~H16)が分譲したマンションです。
○中古タイプ基準 a~d のいずれにも該当しない場合でも、下記の優良な住宅基準に該当すれば、フラット35S(エス)金利Bプランを利用できます。
建設住宅性能評価書 又は 新築時のフラット35適合証明書 | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上 | ||||||||||||||
高齢者等配慮対策等級3以上 | ||||||||||||||
省エネルギー対策等級4 又は 断熱等性能等級4 | ||||||||||||||
劣化対策等級3 かつ 維持管理対策等級2以上 (共同住宅等については、一定の更新対策が必要) |
||||||||||||||
免震建築物 |
●優良な住宅基準による検査は、住宅金融支援機構指定の検査機関が行う必要があります。
※上記『対応物件検査の簡易判定フロー(中古住宅フラット35S金利Bプラン)』は、フラット35S(エス)金利Bプランへの適合を保証するものではありません。あくまでも参考目安としてご利用ください。
フラット35融資の対象物件であるかどうかの判断を後回しにして売買契約を進めることは、買主および売主の双方にとって大きなリスクとなります。売買契約や売出しに先行して判断のための調査を行うことをお奨めします。
フラット35適合証明書(中古住宅適合証明書)は、中古住宅でフラット35の住宅ローンを利用するときに必要となるものです。しかし調査の結果次第では発行できないことがあるなどのため、その不確実性(ギャンブル性)が売主や買主のいずれにとっても円滑な[…]